恋は人を夢中にさせて、理性や意識を失わせる。おびただしい数の愛、憎しみ、幸福、戦い、事件、殺人などが、恋することによって起こる。
一、ジョンがヨーコに恋をして、ヨーコもジョンに恋をする。
これすなわち、愛の誕生であろう。(フィクション)
一、ジョージはパティに恋をしてるが、ポールもパティに恋してる。
これすなわち、戦いであろう。(フィクション)
一、ジョージはパティに恋sてるが、パティはエリックに恋してる。
これすなわち、かわいそうであろう。(フィクション)
一、ブライアンはジョンに恋してるが、ジョンはあっちにも興味があったりする。
これすなわち、痛かろう。(フィクション)
一、リンゴはみんなに恋をして、みんなもリンゴに恋してる。
これすなわち、フィクションであろう。(ノン・フィクション)
一、ジョン松本が全人類に恋してる。
これすなわち、平和であろう。(ヘックション)
「消えた恋」の大部分はジョンによって書かれたようであるが、なるほど、ジョンの作る失恋はかわいそうでもあるが、情けない。「消えた恋」「アイム・ア・ルーざー」「アイル・ビー・バック」など、まだあるのだろうが、ジョンが物語る失恋には底がない。落ちっぱなしである。みなさんも、ジョンの詩を読まれよ。きっと、こう思われるだろう。
あはは、ジョン・レノンも案外情けねえ野郎だなぁ。まるで、おれみたいじゃねえか。
福岡県庁に近いある所にLENNONという喫茶店がある。BGMはジャズである。時々レノンの曲も聴ける。開店当時はレノンの曲ばかりを流していたそうだが、レノンの曲はどうも重い。マザーやらゴッドやらを聴きながら気軽にコーヒーなんぞ飲めない。私は構わぬのだが。よってここで聴ける曲の殆どがジャズなのだ。
五年程前、私は京都のライブハウス「最初の2ドル」で歌っていたのであるが、仕事で福岡に行く機会があり、カフェ・レノンに立ち寄って、そこである女性と知り合った。彼女の名は山本佳子(恵子だったかもしれぬ)。二十代前半。しかし決してキャピキャピではない。おとなしい。ダイアナ妃のような顔をしている。寒いのにミニスカートなんぞをはいている。背は高くない。胸も豊かではなさそうだが、なんだか魅力的だ。ジョンレノンファンである。そして、ああ、何ということだ。彼女は黒澤さんに恋してしまっている。
「あなたはルーティーンてバンド、ご存知かしら?私ある友人から東京に強烈なジョンレノンがいるって聞いたの。あなたも知ってるでしょ?パロッツのYさんよ。私、そのYさんの唄を聴きに先月わざわざ東京にまで行ったの。でもその日の出演はパロッツではなくてルーティーンだったの。チョットしょげちゃった。でもせっかく来たのだからルーティーンを観ることにしたの。
そこのポールがとっても良かったの。黒澤さんよ。一発でファンになっちゃった。頭ビュンビュン振ったり、足をトントン鳴らしたり、おしゃべりがとっても面白くて、ちょっと生意気そうで、何だかポールがそこにいるような気がしたわ。ティルゼア
ワズ ユーの 〜in the sky〜で空を見上げたりするのよ。ドキドキしたわ!
帰る時に握手してもらったの。何か言わなきゃと思って、でも何も言えなくて、やっと『頑張ってください』と言うことができたの。あなた知ってる?あの人右利きなのに左でギター弾いてるのよ。根性のサウスポーだわ!凄いわ!足で絵を描くようなものだわ!
あ〜あ。毎日あの人を観たいわ。私、東京に引っ越そうかしら。」
彼女にはギターとベースの区別がつかぬ様子である。
その後、彼女は東京に引っ越したそうだ。黒澤さんのいる東京へ。
彼女は今も影で黒澤さんを見つめ、応援しているのかもしれない。
それとも、もしや?
ジョン・レノンがシンシアと離婚する時に「結婚が愛のゴールだとは思わない」なんて言ってましたが、真面目なわたくしといたしましては、賛成しかねる言葉であります。
結婚は愛の一時的な暴発。<おおっ!おぞましい。>
結婚は合体。<まあ!汚らわしい。>
結婚はあきらめ。<ああ!それは悲しい。>
結婚は愛のゴールであり、さらなる深き愛への出発点。<うん。それよ、それ。>
結婚は忍耐。<まあ!何ざますの。>
映画、ア・ハード・デイズ・ナイトの「愛する二人」のシーンには、いまだに憧れています。一度あんなふうにやってみたいものです。あのシーンのジョンの笑顔を見て、私はジョンの顔を好きになりました。もし私が女性だったら失神してしまうと思われます。ジョンの笑顔、素敵だ。あんなふうに列車の中で演奏してみたいものです。そうだ!
「ビーグルスと列車で行こう。由布院温泉ツアー」なんかどうだろう。しかし、電車で由布院は遠い。熱海にしようかな。イヤっ、そうだ。
「ビーグルスと飛行機で行こう。由布院温泉ツアー」しかし、飛行機で演奏なんかしたら機長に怒られてしまう。ならば、
「ビーグルスと船で行こう。哀愁の由布院温泉ツアー」しかし、ジュンちゃんは船酔いするといつか言っていたような気がする。それならば最後の手段、
「ビーグルスとバスで行こう。格安由布院温泉ツアー」しかし、バスで由布院は遠い。やはり熱海しかないのか・・・
「ビーグルスとバスで行こう。熱海温泉三昧日帰りツアー」
悪くない。
私は奈良が好きでよく行ったものだ。京都より奈良が好きである。理由は、鹿がいるからである。いっぱいいるのである。鹿にも鹿それぞれ固有の表情がある。美人、男前、かわいい、ぶさいく、恐い、やさしい、聖徳太子、西郷どん、シュワルツェネッガー、ポール、シルバー船長、たんげだんぺい、ベルサイユの薔薇、わたし、あなた、あいつ、いろんな顔の鹿がいるのである。のんきな鹿たちを見ていると心がなごむ。
そして、東大寺の大仏。やはり、大きい。顔が優しい。大きな目を細く開けて人々を見守っておられる。めまぐるしく変わっていく人、世の中を、何を思って見ておられるのか、何を感じておられるのか。
奈良はよいデートスポットである。諸君も一度、奈良へ恋人を連れて行かれよ。
仕事に疲れた方、人間関係に破れた方、一度、奈良へ行かれよ。大仏を見よ。
恋をするなら、奈良へ行かれよ。
提供 J・松本トラベラーズ(有)